生命の時代

誕生と死、破壊と創造、相反する現象を同時に行っているのが生命の特長です。しかも常に変化し続けながら、絶妙なバランスをとっているのです。 これを動的平衡(へいこう)といいます。
さて、今の時代が歴史の中で大きな変わり目であることは、何となく無意識で感んじている方々は多いと思います。生命の長い長い歴史を振り返っても、同じ時代が続いたことはありません。
物事には節目があるように、どこかのポイントで大きな変化をとげているのです。例えば潮の流れが干潮から満潮に移り変わるように、ピークを過ぎると反対方向に動きだします。
昨年9月に始まった経済恐慌から、時代の変化が大きく始まったようです。人間の文化、経済、時代というものも、結局人間の営みに他ならないですから、当然、人間の意識、生命の法則が働いていると推測されます。
さて村山節(みさお)という方が、人類の歴史があたかも生命現象のように変化することを発見しました。(文明法則学史といいます)
それによると、人類の歴史は、およそ800年の周期で文明の中心が西洋文明と東洋文明の間を移り変わっているというのです。
現代は今から約800年前、ヨーロッパでルネサンスから科学が発達を始め、アメリカでその隆盛を極め、いま西洋文明の終わりにさしかかっているそうです。まさしく今、終わりが始まっていると言えましょう。
人間が自分の未来を知りたいように、人類がこれからどうゆう時代を向かえるのか、というのは興味深いテーマです。
時代の激変は個人の運命を容易く(たやすく)飲み込むほどの勢いがあります。次なる時代を予見することにより、賢明なる生き方の一助になると思います。
800年周期の法則でいくと、次なる時代の中心は東洋文明になります。といっても個人のレベルでは、ここ何年か、あるいは何ヶ月先かの方が気になるところでしょう。
もう少し次の時代の中身を見てみると、科学技術に代表される機械的な文明から、生命的な文明が甦ってくるようです。
その兆しはすでに見えておりますが、人類に多大な貢献をした科学の大きな問題は「見えない世界」を否定したことです。因果関係で説明のつかない現象はすべて迷信なり、非科学的として否定されてしまいました。
しかし、これからは行き過ぎた科学の反省、反動もふくめて「見えない世界」も素直に認め、真面目に研究し世の中に活かそうとする動きが出てきます。もちろん現在もその動きはありますが、よりいっそう社会の前面に出てくるでしょう。
「気」や「心の持ち方」など、精神にかかわる部分が肉体や物質、そして宇宙にどのように影響するかも解明されてくるでしょう。
また現代はインターネットなどによる情報革命により、経済や社会生活のスピードを格段に高めました。その特長の一つは物事の因果関係が早くなるということです。
例えば江戸時代、大阪で何か事が起こったら、江戸に伝わるのに数日かかったでしょう。それから次のリアクションが起こったのです。しかし、今は即座に伝わり、次々とリアクションが起こっていきます。
そうなると「こうすればああなる」といった、風が吹けば桶屋が儲かる式の因果関係のスピードが格段に早くなり、因果関係から現象が同時に動く「相関関係」へと移り変わるのです。
しかもその及ぶ範囲が広くなっていますから、部分だけを見ていたら予測がつきません。社会システムそのものが生命システムのような性質を帯びてくるのです。
整体などの東洋医学の世界では、病気と一見関係ないところを調整して治します。これなど、部分と全体が一つにつながり、部分の変化が全体に及ぶ生命の原理を知っているからです。
生命のシステムを中心に動いて行く社会では、生命の知恵が必要とされます。その知恵はどこにあるのかというと、すでにどの国にも存在する古代文明の中に宿っているのです。
日本文化に根付いているすべてに神々が宿るという「八百万の神」の思想は、ものを生かす「もったいない」というリサイクルの考えの元になっているのです。
また「御陰(おかげ)さま」や「縁(えにし)」という言葉も、生かされ、有り難く生きるという、自然への畏敬の念をこめた共生思想そのものと言えるでしょう。
